足尾銅山と山地荒廃の歴史(その9)
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7.森の効果を測る
最近ではリモートセンシングという手段で、森を監視することが行われています。
地球の周りをまわる人工衛星から送られてきた画像や空中写真などを使って、
広く森林の状態を見てどのように変化してきたかを見ようというものです。
人工衛星から送られてきた画像からは、森林の状態はもちろん、
地表や海の温度分布、土地の被覆状態、大気の状態など様々なことがわかります。
下の図は、足尾山地のうち、足尾ダム上流部について人工衛星から送られてきた
画像と空中写真をもとに、植生指標(しょくせいしひょう)というものを計算して
森林の変化をしらべたものです。
図の一番上は工場からの亜硫酸ガスの排出が止まった翌年、1957年当時の様子です。
谷に沿って裸地が大きく広がっていることがわかります。
図はここから3つに分かれます。
・一番左端の列(Case I)は、緑化などの治山事業が全く行われなかった場合
・真ん中の列(Case II)は、治山事業を1992年で中止した場合
・右端の列(Case III)は、2007年まで治山事業を継続した場合
森林がどのように変化していくかをシミュレート(模擬的に計算)したものです。
図をクリックすると拡大します。

本多・柴崎・村井(1995),足尾銅山における植生回復シミュレーションと
治山事業の評価,「写真測量とリモートセンシング」Vol.34, No.5, 1995より。
これを見ると、例えば 1992年では、治山事業が重点的に行われた久蔵沢流域
(図の中心より右側の沢)では、完全に放置したCaseIでは裸地が広がっているのに
対して、治山事業を行った CaseIIでは裸地が非常に少なくなっており、治山事業が
森林の回復に大きな効果をあげていることがわかります。
また、森林が将来的にどう回復していくかということも見てとれます。
1992年で事業を中止したCaseIIの場合と、2007年まで継続したCaseIIIの場合を
くらべてみましょう。2157年にはCaseIIの場合は松木沢右岸(図の中心より左の沢)
に裸地が残っているのに対して、CaseIIIでは全面的に森林が回復していることが
わかります。
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